正しい略語

 正式な日本語ではないにもかかわらず強引に簡略化され、日常的に使用される言葉は多い。「百均」「通販」「月9」「徹マン」・・、数え上げればキリがないし、これらを否定するつもりもない。
逆に、普段よく使うのに簡略化せず、律儀に正式名称で読み上げる言葉も多い。「トイレットペーパー」は「トイペ」、「クレジットカード」は「クレカ」などと略せば非常に実用的であるにもかかわらず、実行に踏み出せないでいるのは、あまりにも短絡的でオシャレ度が低いせいだろうか。

それでは、オシャレ度を追求した略語案を考えてみよう。

「低周波治療器」
→「低ちりょ」

これはなかなかオシャレだ。初恋を思い出させる様な初々しい響きだ。漢字で書けないあたりは「キムタク」を彷彿とさせる。オシャレ度の謎が少し紐解かれた気がする。ならば、

「金田一少年の事件簿」
→「金んぼ」

かなりオシャレ度の高い名作だ。圧縮率もプロレベルに達する。再来年くらいに町中いたる所で耳にすることになるだろう。

「お香」
→「おこ」

上の例を応用したテクニックだ。略語のロジックを理解していればこの高尚な響きが深い感動につながるはずだ。

「アメリカ横断ウルトラクイズ」
→アメ横

これは誤解を生む悪い例だ。しかもこれを展開してもただの「アメリカ横断」になり、とても流行するとは思えない。正しい略し方は「アメ横ウルクイ」か。長い気もするが、「日米安保」などと同じ手法である。これを勇んで「アおウク」などといって先走るとワケがわからなくなる。

 昨今「日本語が乱れている」と言われているが、略語は非常に重要な役割を果たす場合もあるということだ。略語がなかったら「ゴリさん」は「ゴリラさん」となり、人間関係に支障をきたす恐れがあるのだよ。ゴリ押し?

2002.07.07 / n_a_r_y